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激闘の轍(わだち)

-全日本柔道選手権大会60年の歩み-

激闘の轍(わだち)

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雑誌「柔道」戦評で綴る全日本選手権激闘の記録

発行:(財)講道館、(財)全日本柔道連盟
対象者:全ての柔道家

出版年:2009年
ページ数:159ページ
価格:2000円(本体1905円+税)

→DVD「激闘の轍-全日本柔道選手権【昭和編】」のレビューを読む


Book Review
全日本柔道選手権60回大会を記念して企画された、講道館・全日本柔道連盟発行のムック誌。平成21年の全日本選手権当日に日本武道館で販売開始され、非常な好評を博した。

昭和20年から平成20年までの60回全ての大会について雑誌「柔道」に掲載された大会レポート記事を抜粋して再録、また、過去の全日本選手権プログラムに掲載された歴代優勝者インタビュー「シリーズ・歴代王者に聞く!」の再録、全大会勝ち上がり表の本邦初掲載など、60回の大会それぞれの雰囲気を存分に味わえ、かつ、俯瞰できる内容となっている。

わけても興味深いのは「講道館機関誌「柔道」で振り返る全日本柔道選手権大会60年」と題する、雑誌「柔道」各大会レポートの再掲載。

勿論オリジナルの記事は大会ごとにそれぞれ数十ページに及ぶ分量なので抜粋して一部を掲載することになるわけだが、その選択が非常に細やか。ファン心理に迫ってくるものがある。

基本フォーマットは、「展望」「準決勝・決勝結果」「決勝レポート」に加え「技術評・総評・雑感」(昭和63年以降は座談会)であるが、この編集ぶりがなかなか小気味良い。形に捉われず、その年に適した絶妙な配分で、大会の雰囲気を存分に伝えてくれる。

特に「技術評」が掲載されていた昭和61年以前の記事については、決勝・準決勝の上位対戦への言及を掲載するのみならず、その大会を象徴する名勝負や技の傾向、その時代の柔道ファンや識者が柔道に何を期待しているかというような「大会の空気」を醸し出すことに腐心して抜粋・編集した跡が見え、ともすると機械的な抜粋、単なる成績上位者への賛辞の羅列に陥りかねないこの企画を「読み物」として非常に魅力のあるものに昇華してくれている。

また、毎年の大会後にリアルタイムに読んでいると「当たり前のこと」にしか聞こえないような評、発言も当然あるわけだが、こうして60年分並べてみると、「柔道」という武道、競技に対する社会や競技者の意識、常識の移り変わりが見えて大変興味深い。
大会の盛り上がりの指標として多くの評者が当然のように「一本勝ちの数」を挙げているところなど、日本柔道の価値観を再確認できたようで、非常に頼もしく感じた。

工藤一三、栗原民雄、宇土虎雄、小谷澄之、廣瀬巌など伝説的な柔道人の格調高い戦評、また、雑誌「柔道」には実際には掲載されていない、未発表の貴重な写真がふんだんに使われている点も魅力だ。

ひとつ注文をつけるとすれば、贅沢ではあるがやはりもっと多くの試合のレポートが読みたいということ。各年とも準々決勝以前は省略となっているが、巻末に付された全試合の勝ち上がり表を見るとジワジワと「この対戦をもっと詳しく知りたい」「この人の柔道を知りたい」という欲求がわき上がってくる。優勝者の試合ぶりは時代が下っても比較的語られる機会が多いこともあり、ファンとしてはむしろ、優勝してはいないが時代を席捲した実力派、識者に好カードと評せられたであろう渋好みの対戦などの対戦評をぜひ読んでみたい。誌面の都合もあろうが、もし次回同様の企画があれば、ぜひとも一考してほしいところだ。

毎年のように大観衆が押し寄せ、戦後大衆の圧倒的な支持を集めた昭和二十年代、昭和39年の五輪開催を頂点に「世界」への視点が芽生えた三十年代、「技術派と体力派の争覇戦」(昭和43年・川村禎三評)と評された昭和四十年代、少年ファンが会場を埋め尽くした山下時代。
60年の歴史の中で培われてきた「日本の柔道」の矜持とその旨味を存分に味わえる一冊だ。


投稿者:運営者


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■内容■

【シリーズ・歴代王者に聞く!】

特別版 醍醐敏郎(昭和26・29年優勝)
連載1 竹内善徳(昭和37年優勝)
連載2 松阪猛(昭和43年優勝)
連載3 関根忍(昭和47年優勝)
連載4 岩釣兼生(昭和46年優勝)
連載5 佐藤宣践(昭和49年優勝)
連載6 上村春樹(昭和48・50年優勝)
連載7 遠藤純男(昭和51年優勝)

【講道館機関誌「柔道」で振り返る全日本柔道選手権大会60年】

昭和23年 優勝 松本安市 六段 (総評 丸山三造)
昭和24年 優勝 木村政彦 七段、石川隆彦 六段(総評 丸山三造)
昭和25年 優勝 石川隆彦 七段 (総評 丸山三造)
昭和26年 優勝 醍醐敏郎 六段 (大会寸評 石黒敬七、技術評 工藤一三)
昭和27年 優勝 吉松義彦 六段 (後記 丸山三造)
昭和28年 優勝 吉松義彦 七段 (技術評 工藤一三)
昭和29年 優勝 醍醐敏郎 六段 (技術評 菊池揚二)
昭和30年 優勝 吉松義彦 七段 (雑感 松本芳三)
昭和32年 優勝 夏井昇吉 六段 (後記 川村禎三、技術評 栗原民雄)
昭和33年 優勝 曾根康治 五段 (大会技術評 三船久蔵)
昭和34年 優勝 猪熊功 四段 (大会技術評 宇土虎男)
昭和35年 優勝 神永昭夫 五段 (大会技術評 三船久蔵)
昭和36年 優勝 神永昭夫 五段 (大会後記 三船久蔵)
昭和37年 優勝 竹内善徳 五段 (川村禎三、大澤慶巳)
昭和38年 優勝 猪熊功 五段 (観戦座談会 姿節雄、山舗公義、宮内英二)
昭和39年 優勝 神永昭夫 五段 (観戦座談会 工藤一三、森下勇)
昭和40年 優勝 坂口征二 四段 (技術評 栗原民雄)
昭和41年 優勝 松永満雄 五段 (和村公男)
昭和42年 優勝 岡野功 五段 
昭和43年 優勝 松阪猛 五段 (技術評 工藤一三)
昭和44年 優勝 岡野功 五段 (技術評 工藤一三)
昭和45年 優勝 篠巻政利 五段 (技術評 浜野正平)
昭和46年 優勝 岩釣兼生 五段 (技術評 吉松義彦)
昭和47年 優勝 関根忍 五段(技術評 小谷澄之)
昭和48年 優勝 上村春樹 四段 (技術評 廣瀬巌)
昭和49年 優勝 佐藤宣践 六段 (技術評 小谷澄之)
昭和50年 優勝 上村春樹 五段 (技術評 小谷澄之)
昭和51年 優勝 遠藤純男 五段 (技術評 小谷澄之)
昭和52年 優勝 山下泰裕 四段 (技術評 小谷澄之)
昭和53年 優勝 山下泰裕 四段 (観戦記 赤坂大輔)
昭和54年 優勝 山下泰裕 五段 (技術評 小谷澄之)
昭和55年 優勝 山下泰裕 五段 (技術評 森下勇)
昭和56年 優勝 山下泰裕 五段 (技術評 森下勇)
昭和57年 優勝 山下泰裕 五段 (技術評 高木栄一郎)
昭和58年 優勝 山下泰裕 五段 (技術評 小谷澄之)
昭和59年 優勝 山下泰裕 五段 (技術評 小谷澄之)
昭和60年 優勝 山下泰裕 六段 (観戦記 神永昭夫)
昭和61年 優勝 正木嘉美 五段 (観戦記 大澤慶巳)
昭和62年 優勝 正木嘉美 五段 (座談会 松下三郎、関根忍、中村良三、上
村春樹)
昭和63年 優勝 斉藤仁 五段 (座談会 関根忍、上村春樹、深沢嘉直)
平成元年 優勝 小川直也 四段 (座談会 関根忍、中村良三、上村春樹)
平成2年 優勝 小川直也 五段 (座談会 松下三郎、長谷川博之、上村春樹、
藤猪省三)
平成3年 優勝 小川直也 五段 (座談会 関根忍、上村春樹、南喜陽)
平成4年 優勝 小川直也 五段 (座談会 関根忍、上村春樹、藤猪省太)
平成5年 優勝 小川直也 五段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、南喜陽)
平成6年 優勝 金野潤 三段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、南喜陽)
平成7年 優勝 小川直也 五段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、南喜陽)
平成8年 優勝 小川直也 五段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、柏崎克彦)
平成9年 優勝 金野潤 四段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、南喜陽)
平成10年 優勝 篠原信一 四段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、南喜陽)
平成11年 優勝 篠原信一 五段 (座談会 上村春樹、藤猪省太、南喜陽)
平成12年 優勝 篠原信一 五段 
平成13年 優勝 井上康生 五段 (座談会 上村春樹、山下泰裕、斎藤仁)
平成14年 優勝 井上康生 五段 (座談会 上村春樹、斎藤仁、大迫明伸)
平成15年 優勝 井上康生 五段 (座談会 上村春樹、斎藤仁、大迫明伸)
平成16年 優勝 鈴木桂治 五段 (座談会 上村春樹、斎藤仁、大迫明伸)
平成17年 優勝 鈴木桂治 五段 (座談会 上村春樹、斎藤仁、岡田弘隆)
平成18年 優勝 石井慧 三段 (座談会 吉村和郎、斎藤仁、岡田弘隆)
平成19年 優勝 鈴木桂治 五段 (座談会 吉村和郎、斎藤仁、岡田弘隆)
平成20年 優勝 石井慧 四段 (座談会 吉村和郎、斎藤仁、岡田弘隆)

【全日本柔道選手権大会 昭和23年~平成20年 記録】

①全大会 勝ち上がり表(トーナメント表)
②入賞者一覧


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