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柔道はすばらしい

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「町道場」の矜持溢れる、若手指導者必読の書

著者:腹巻宏一
対象者:指導者・保護者

出版社:日本武道館・ベースボールマガジン社
出版年:2007年8月
ページ数:303
定価:2400円+税

Book Review
雑誌「武道」2005年6月号から2007年8月号に掲載された同名連載を、テーマごとに加筆・再構成して出版したもの。

柔道・勉強の両方を指導する和歌山県の町道場・紀柔館の館長腹巻宏一氏が、道場運営について、稽古内容のみならず、経営・危機管理・教育理念・地域との関わりなどを自身の体験をベースに、平易な言葉で語っている。

著者は筑波大学大学院終了後、和歌山県の大手鉄鋼関連会社の関連会社に入社し、社内の地域社会貢献事業として柔道塾を開設、のちに独立して町道場・紀柔館を主宰し現在に至る。

17畳の事務所テナントを借りての活動から始まり、やがて自前の道場を持ち、現在は全国大会にも選手を輩出する紀柔館の越し方自体も非常に興味深いが、本書でそれに割かれるのは序章のみ。

以降は、著者が「町道場の役割は」「指導上の実際のカリキュラムは」というような、柔道指導者に身近なテーマを実体験に基づいて語る体の構成となっている。

ともすれば凡庸な「町道場指導奮闘記」に陥る可能性のあるテーマでもあるが、これが非常に読み応えのある啓蒙書に仕上がっている。

現在進行形のトピックや皮膚感覚豊かなエピソードを選び平易な言葉で書き下ろしたそのおもしろさ、わかりやすさだけでなく、全人教育を目指し実践している著者の志とインテリジェンスの高さ、本書でも度々登場する著者の恩師柘植俊一氏の薫陶により形られた骨太の人間性の裏づけによるものであろう。

氏の視点に一貫するのは「職業として柔道を教える」プロとして自己と紀柔館がいかにあるべきかということ。

それを単なる自己研鑽の糧とするだけではなく、その「お金を貰って、それ以上のサービス(指導)で返す」という姿勢を、失敗例をも盛り込んだ具体的な事例を紹介しつつ示していく文章には柔道指導の最前線で自ら場を築き「食っている」指導者ならではの迫力が漂う。

シニア世代になって柔道を始める方々への体力や適性にあった「オーダーメイドの技指導」等は、まさに現場のプロフェッショナルに徹した姿勢から生まれたもので、僭越ながら非常に感心させられた。

柔道指導で生活するためには、生徒に最高の指導を提供しなければならない。そのためには自分の生活を柔道一本に絞らなければならない。そのためには相応の月謝を得なければならない。

当たり前のことではあるが、ボランティア指導だけが柔道指導ではない、生徒から月謝を得、それ以上のサービスで応えるという行為は自他共栄の柔道精神と矛盾しないということを再確認させられる。

本書中「後継者の育成問題」の項に「今時の若者の中から、使命感に燃える<古武士>に近い人物を見つけだし「このやりがいのある<人を育てる道場>の後を継がないか」と声を掛け」とあるように、腹巻氏の文章には、志ある若者に後に続いて欲しい、というメッセージを強く感じる。

著者は1964年生まれで、指導者としては比較的若手の世代である。
一世代前に全盛期を迎えた道場の老指導者や、世界クラスの大選手というような手の届かない存在ではなく、「いま」という時代を生きる町道場経営者の生の声は、指導者を志すさらに若い世代の柔道家を大いに勇気づけることであろう。


投稿者:運営者


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【内容】

■序章 全人教育をめざす柔道塾 

第1節 柔道塾開設の経緯
第2節 新規事業として柔道塾を立ち上げるまで

■第1章 道場経営の実践例
第1節 柔道クラスと勉強クラスの授業内容
第2節 小学生のクラス編成
第3節 柔道場での座学
第4節 独自の指導法を発揮する指導者たち
第5節 社会人クラス<エコクラブ>
第6節 柔道クラブとしてのさまざまな行事
第7節 町道場の国際交流
第8節 「道場を建てる」ということ

■第2章 教育的観点からの試合本来の意義

第1節 塾生にとって一番は何か
第2節 全国少年柔道大会
第3節 小・中・高校の全国大会
第4節 歓声を磨く錬成大会とは
第5節 心をはぐくむ指導者・保護者の一言

■第3章 指導者が学ぶべきこと

第1節 職業として柔道を指導する意義
第2節 国際柔道連盟セミナー
第3節 柔道の講習会・研修会
第4節 禅と柔道
第5節 柔道クラブの危機管理

■第4章 高感度受信装置を持つ、発信型人間に

第1節 柘植俊一先生の「反秀才論」
第2節 柔道の科学的研究と現場への応用
第3節 町道場とインターネット
第4節 大学の教養教育としての柔道
第5節 合気道を柔道に生かす試み

■第5章 町道場の可能性

第1節 「後継者を育てる」ということ
第2節 町道場の可能性



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コメント


私も、スポーツ(運動系)+αの子供スクールは、これからの教育には切り離せないと思っていました。

私は、このような付加価値がある塾系が今後発展するような気がします。

腹巻氏は、柔道と学習という両面からのアプローチを実践していますが、今後は「野球と学習」や「サッカーと学習」が現れるのかもしれません。

投稿者 体育会系の父 : 2009年06月06日 00:40


私も(48才)現在子供たちを時間があるときに少しばかり指導していますが腹巻宏一氏のように将来自分の道場(私設)を開けるのは良いですねー
柔道はすばらしいの本を読んでみたくなりました。

投稿者 久手堅秀明 : 2009年05月19日 18:33

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