北の海

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高専柔道の雰囲気を存分に伝える井上靖の自伝的名著
著者: 井上靖
対象者: 全ての柔道家
出版社: 新潮文庫
出版年: 1980
ページ数: 675
定価: ¥819円+税
Book Review
「しろばんば」「夏草冬濤」に続く、井上靖の自伝的小説三部作の最終巻。氏が情熱を柔道に傾けた時期が描かれており、柔道小説としてもかなり読み応えのある作品となっている。
大正末年、中学を卒業して沼津の街で後輩に柔道を教えながらぶらぶらと浪人生活を送っていた主人公の伊上洪作は、四高柔道部の二年生蓮見に勧誘され、高専柔道界の花形金沢四高の夏稽古に参加することになる。
「学問をやりに来たと思うなよ、柔道をやりに来たと思え」
「この世に女はないものと思え」
「いっさいものは考えるな」
「練習量がすべてを決定する柔道を、僕たちは造ろうとしている。それは寝技。」
個性的なモットーのもと、全国高専大会に勝つためだけに学生生活の全てを投げ打って生活する秀才達の姿とその生活に魅せられた洪作はやがて四高受験を決意する。
大正期の学生生活の放埓さと美しさがあますところなく描かれ、高専柔道の雰囲気が存分に味わえる文句なしの名作。勝つという目的のためだけに自己の生活を手段化する四高柔道部員の一途さは、現代の強豪校の選手にも共感できるところが多いのではないだろうか。特に若年層の競技者には是非一読してもらいたい。
投稿者: 運営者
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